男女平等社会によって、働き方も大きく変わりました。
代表やリーダーを女性が担う場面もだいぶ多くなったのではないでしょうか。
そんな女性主体の職場の代名詞と言われるのが、介護と看護です。
中でも介護職においては圧倒的に女性が主体となっている職場が多いようで、広告の掲載を見ても「女性が輝ける職場」「保育所完備」とうたい文句を掲げて求人を出している職場をよく見かけます。
女性主体の職場でよく話題になるのが「いじめ」です。
看護も介護も基本的には大切な命を預かる大変な職場です。
一つの小さなミスが重大な事故につながる事もあれば、日々の多忙な業務の中で職員同士でのコミュニケーションがうまく取れない事もあります。
人と人の歯車がかみ合わないストレスのはけ口は、人へ向けられます。
「今日もまた嫌味言われるのかな・・・」
「あの人はどうして私にばかり強く当たるの?」
「これってパワハラなんじゃない?」
「誰も話してくれないし」
「もう辞めちゃおうかな」
でも、ちょっと待って!
後ろ向きで決めた決断は、次の選択を後ろ向きにさせます。
つまり、根拠を理解しなければまた同じ環境に巻き込まれる可能性も高いのです。
そうなればあなたは二度と介護職を選択する事はないでしょう。
その前に、どうして介護施設に職場いじめと言われる状態が横行するのか、一緒に考えてみましょう。
メンタルが病んでしまうと転職どころか、働くことすらできなくなってしまいますよ!
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目次
介護施設で職場いじめが多い原因は?
介護施設は女性主体の職場が多い
介護職の低賃金、重労働は最近のニュースでもよく話題になります。
この低賃金と言われるベースはあくまで社会全体の給与平均から見た場合です。
一般的な男性がマイホームを持ち、高級車に乗り家族を支えるには確かに低い給与水準なのかもしれません。
ですが、男性が主体で働き、私は家計をサポートする目的で仕事をしたいという方にとってはそう安い給料ではありません。
むしろ、しっかりと資格も取得すれば小さな会社の事務やスーパーのレジ打ちのパートよりもよほど好待遇だったりします。
更には結婚し出産を経て子供もお金がかかる年齢に到達し、さて再就職しましょうと考えた時、この就職難の世の中では余程何かのスキルに長けていなければ、そう簡単に仕事は見つかるものではありません。
その反面、介護は人手不足が蔓延化し今では外国人労働者さえ積極的に受け入れざるを得ない状況ですから、人材確保の面から考えても主婦層は介護業界から見ると非常に大きな人材バンクなのです。
若い年齢で介護、医療に関心を持つのはだいたいが、「身の回りに介護、医療のサポートを必要とする方がいた」という理由からです。
男の子は積極的に外で遊びますが、女の子は母親の後姿を見て過ごしてきたという子が多いのではないでしょうか。
母親が、おじいちゃんおばあちゃんが・・・
そんな大変さを身に染みてこの業界を目指す子達が、やがては専門学校や大学で専門資格を取得して、主婦層の介護員達の上司となる訳です。
中には「現場で働く主婦層が言う事を全然聞いてくれない」という形でいじめを受ける上司がいます。
そして中には「自分の子供みたいな女の子にどうしてそこまで言われなきゃいけないの?」という形でいじめを受ける介護員がいます。
他職種が入り混じる職場
介護施設でメインのスタッフとして働く職種を挙げてみます。
「介護員」「介護福祉士」「介護支援専門員」「生活相談員」「支援相談員」「セラピスト」「看護師」
その他、施設によっては栄養士がいたり事務員がいたり、社会福祉士や精神保健福祉士がいたり非常にバラエティに富んでいます。
福祉、医療の専門資格はそれなりに高いモチベーションでしっかりと勉強してきたプライドの高い専門職が多いかと思います。
中には高い能力を評価してもらいもっと上の立場に立つことを目論む人もいるかもしれません。
これは女性に限った事ではなく、上を目指すには多少人を蹴落とす勇気が必要な場合もあります。
穏やかな生活を高齢者に提供する介護の組織は、到底穏やかとは言えないくらい殺伐とした野心に満ちています。
そして専門職は自分の分野に関しての知識を主張したがる傾向があります。
お互いに有資格者同士が譲らなければ、そのしわ寄せは一番下である介護員に飛び火するのも当たり前の事なのかもしれません。
感情が出やすい女性の本能
日本社会は歴史を振り返ると男尊女卑の時代が非常に長く、女性が男性の3歩後ろを歩く時代は昭和初期まで続きました。
どちらかと言えば女性の存在は影から社会を支える存在でしたが、女性の社会進出によってその構造は大きく崩れました。
社会で女性が男性と対等に渡り歩いていくには、男性にはない主張で男性には負けない地位を築いていく必要があったのです。
一般的に感情の表出は男性よりも女性の方が多彩と言います。
これは動物的本能なのだそうです。
この感情の表出が時に争い事を生むのです。
介護施設における職場いじめの実態
ここからは、実際にどのようないじめがあるのかを見ていきたいと思います。
上司→介護員
ここでの上司は介護現場での上司ですので、「リーダー」「主任」「相談員」「管理職」を言います。
- 挨拶をしても挨拶を返さない
- 分からない事を聞くと「こんな事もわからないの?」と罵られる
- 自分が知らないところで起こった事故が自分のせいにされた
- きつく当たられる、怒鳴られる
- 自分が事務所に入った瞬間必ず会話が止まる
- 希望休や有休を渋る
専門職→介護員
- 怪我や異変があった時必ず最初に疑われる
- 家族からのクレームを自分のせいにされる
- 救急搬送や急変でバタバタしている時に指示されていない事を察して動けと怒鳴られる
- 無視される
- 事あるごとに呼び出され説教される
同僚→介護員(介護員同士)
- 不倫をしているという噂を流された
- 自分の勤務の時はオムツや物品が空っぽで補充されていない
- 汚れた衣類を着替えさせないで引き継ぐ
- 現場で解決できる小さなミスを上司に告げ口
- 無視された
- ライングループや飲み会に自分だけ声を掛けられなかった
- ミスをするよう仕向けられた
介護員→上司(相談員・ケアマネ等)
- 指示を聞かずクレームになりその事を告げると「あなたの言い方が悪い」と怒られる
- 自分からいじめられていると上司へ告げ口(実際には注意しただけ)
- 報告書の提示を求めると太々しい態度を取る
- 自分の悪口を言いふらされていた
- 集団で無視
家族→職員
- 「命を預かっている自覚はあるのか?」と怒鳴られた
- 金品を所持させないように注意しているのに預け、紛失したと何時間も聴取された
- 面会するたびに小さな内出血や傷を「虐待じゃないか?」と騒ぐ
- 入浴介助でハーフパンツを履いていると「だらしない」と告げ口される
利用者→職員
- セクハラ全般
- 無理な要求をする
- 用事がないのにナースコールを連打。行かなければ上司へ報告
- 物を隠して職員が取ったように仕向ける
- 暴言、暴行
こうして見ると、本当に多方面から物を言う方が多く、それだけでも大変なお仕事だと思います。
皆さんは思い当たる節がありましたか?
もう我慢の限界!!でもちょっと待って?
休む暇がないほど体を動かして頭を働かせて、盆正月も関係なく働いて腰を痛めて・・・
これだけでも大変なお仕事なのに、さらにいじめがあったのでは働く意欲が減退してしまうのも当然です。
でも、退職を考えているあなた。
ちょっと待って!
本当にそれがいじめなのかをもう一度考えてみましょう。
「上司→介護員」のいじめ
例えば施設長や所長クラスであれば、日々、運営のコストを何処で穴埋めするかや人員を何処で確保するかに頭を悩ませています。
「残業、有給を認めない」という話は良く聞く話です。
ですが、一度考えてみて欲しい事が1つ。
それでは他の職種はそういった事がないと言い切れるのか?
ここ最近、残業に対する管理が非常に厳しくなっています。特に月の限度を超えると職場としてメンタルチェックを推奨したり、行政から指導が入る事もあります。
事に、過労死問題で騒いでいる残業時間は100時間を超える状態だとか。
確かに残業未払いは大問題です。
ですが、社会人として会社で働く以上はコストについても考える事が必要です。
例えば自分が1時間残業をすると、いくらの支払いが発生するかあなたは考えた事がありますか?
人を扱うお仕事ですから突発的な体調変化等で退勤時間なのに現場を離れられない事もあります。
しかし、普段の業務で蔓延的にサービス残業が発生する事業所は、まずは業務内容の見直しに取り掛かるべきです。
あるいは、AさんとBさんという職員が居て、Aさんは丁寧に時間内で1つの業務を遂行出来ているのにBさんは3倍以上の時間がかかり残業が発生しているとすれば、Bさんにも仕事の能力や効率を上げる努力が必要と考えるのが一般的です。
Bさんは果たしてその努力をしているのでしょうか。
同じ仕事をしているのに片方は無駄に賃金が発生するのでは、もう一人は腑に落ちない事でしょう。
そこをチームケアで乗り越えていく訳です。
「私はのんびり屋さんだからできません」では退職して他を探したところできっと結果は同じ事でしょう。
事務所にふんぞり返って座っているだけに見える上司も、実は介護員さんには分からない重要な仕事を担っている事が多いです。
「全然手伝ってくれない」
と思うかもしれませんが、では逆に事務所が全員欠勤してしまった時、あなたが様々なお客さんの対応をして、労務管理をして、給付管理をして、ケアプランを作成する事が出来ますか?
職種分離は政治の宗教分離と同様に必要なのです。
サッカーや野球もそうですが、全員が1つのボールを追いかけまわしたのでは高率が悪いですよね。それぞれの役割があり、あなたにももちろん役割があるのですからまずはそれぞれの役割を把握する努力をしてみましょう。
納得がいかないのであれば、実際に資格を取得し対等の立場で物事を見てからでも、文句を言うのは遅くありませんから。
「専門職→介護員」のいじめ
ケアマネージャーや相談員は自分がプランニングした計画をもとにそれぞれの職種が仕事をしてくれる事を期待しています。
そしてその内容は必ず家族や本人の同意に基づいて行われる訳ですから、内容と違う事が家族、または本人から話があれば事業所やスタッフへ確認するのは当然ですよね。
看護師にしても、特に急変等があれば人間ですから慌てたりパニックになるのは当たり前のことです。
医療施設で働いていたナースならば、言わなくとも必要な処置の用具や備品は阿吽の呼吸で対応するナースの手元に届き、ドクターや家族へ速やかに連絡が行きます。
福祉も専門職ですから、サービスを受ける側からすればそのような対応は出来て当たり前で、逆に不備がある事が発覚すれば必ず行政の指導が入るものと思って下さい。それを避けるには、厳しい言葉で言わざるを得ない場合もあります。
「無視」となると話は違うかもしれませんが、そこに至るまでに何かしらの要因があったのかもしれません。
仕事とは、なんでもそうですが、ただ闇雲に業務を遂行する事だけを考えるという訳ではありません。
特に、人の命に関わるリスクも生じる職種であれば、研修や自主的な勉強で様々なシチュエーションを想定して5w1hに基づいて考えてみる必要もあるかと思います。
リハビリ関連の施設ではセラピストと相談員がバチバチと火花を灯す事も少なくないようです。
介護施設での緩いリハビリと病院の急性期リハビリは比べても比べようがありません。
リハビリの目的が見つからないと嘆くセラピストと稼働率が稼げないと嘆く相談員の対峙に巻き込まれる事も少なくありません。
ですが、ここで一番近い場面でADLを見ている介護員の観察力と知識が生きるのです。
不十分な動作の要因と分析を相談員、セラピストにしっかりと伝えていますか??
介護とは、ただのお節介好きなお手伝いさんではないのですから、専門的見解から意見を述べる努力をしない限りは殺伐とした環境は改善される事はないでしょう。
過度なサービスは生活能力を低下させる事にもなりかねません。
「同僚→介護員」のいじめ
実はここが一番厄介なポイントかもしれません。
中には噂が大好きのおばちゃんたちも沢山居ます。
ポイントとしてはやはり根拠の分析をしてみる事が一番だと思います。
自分からコミュニケーションをとる努力をしていますか?
業務上迷惑をかける事はありませんでしたか?
上から物事を言う事はありませんか?
子供のいじめもそうですが、いじめられる側に全くの落ち度がなかったのであれば良いのです。
ですが、自分が気付いていないだけで相手を傷つける何かがあったとすれば、例えば転職し職場を変えても同じ結果が目に見えます。
意外と相手も同じように、自分に無視されたとか思っているだけなのかもしれません。
こじれてしまい修復が不可能でしたら異動願いを出すのも一つかもしれません。
また、自分がその方の鏡になってしまわないよう十分に気を付けましょう。
「介護員→上司」のいじめ
特に若い上司だと、言い方が悪いかもしれませんが舐められます。
ですが、それはあなたの実力を知らないから。
実力を示すのは物の言い方とか指示の出し方ではなく、あくまで介護員目線での実力ですので例えば「重くて移乗が出来ない」とか「口腔ケアが上手くできない」、「認知症の対応が上手くいかない」という時に、実際に自分が応対してみて出来る、出来ないを判断させる事も一つです。
介護員同士でも同じですが、やはり人は上から物を言われて気持ち良いと感じる方は少ないですし、上司には部下の扱い方も求められますが、8割がたの人は「褒められて伸びる」タイプと言います。厳しく怒られてモチベーションを保つ人はそうそういないですので、その事を意識して同じ目線で依頼したりお話する事が求められるポジションでもあります。
家族・利用者→職員
こればかりは十分な信頼関係をじっくりと築いていくしかありませんね。
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本当に心が病んでしまうと転職だけではなく、働く力も失ってしまいます。
そうなる前に小さな一歩を踏み出してみましょう。
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まとめ
いじめに合う人はどうして抱え込んでしまうのでしょうか。
それは、自分に反論するだけの知識や根拠がないから。
先ほども言いましたが介護はただのお手伝いではありません。根拠を持って取り組むべきお仕事なのです。
ですから相手から腑に落ちない事を何か言われた時に、「それは違います」と反論出来るだけの技術と知識を習得していれば問題はない訳です。
その知識の肩書となる一つが「資格」です。
今、どんな立場の人からのいじめにあなたが悩んでいるのかは分かりません。
ですが、自分は間違っていないと悔しい気持ちを抱え込んでいるのであれば、間違っていない根拠をしっかりと主張し、それに対して相手はどう思うのかを問いただしてからでも退職や異動を考えるのは遅くはないのではないでしょうか。
勤務条件等でのパワハラ的な展開があるのであれば、労働条件に関する知識をまずは頭に入れましょう。
その上で、この部分に反しますと根拠を持って提示すればだいたいの上司は驚いて尻込みします。
あなたが「これはいじめだ」と思っていても、実は思っているのは自分だけで、相手は良かれと思って指導しているつもりだったり、過度の期待の表れだったりする事もあります。
本当に陰湿な「無視」「噂」「嫌がらせ」が何もないところから沸き起こるのであればそれは大人として許しがたいですが、職場は職場と割り切る事が出来る程度であればあまり考え過ぎずに大人な対応をしましょう。
逆に、物がなくなったり壊されていたりとか、そういう類の嫌がらせであればあなたは法律を武器に応対する事も可能です。
自分がどのようなシチュエーションに置かれているのかをまずは確認してみて下さい。
解決の糸口が見つかる事を願っています。