福祉関係の職種の離職率が激しいのは皆さんがご存じだと思います。
その福祉関係の職種には当然グループホームも含まれる訳ですが、グループホームの離職には比較的規模の大きな介護施設や障害者施設とは違った特色があるようです。
それでは実際に、皆さんがどんな不満や不安、ストレスを抱えて離職しているのかを解説します。
メンタルが病んでしまうと転職どころか、働くことすらできなくなってしまいますよ!
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目次
グループホームと大規模施設の違いは何?
一番の大きな違いは収容人数です。
時代の流れで施設でも家庭的な雰囲気をベースにした10床×○ユニット・・・
というところも増えてきているようですが、ひと昔前まではだいたいが20名以上×○フロア=100床にプラスαで増床という感じが多かったように思います。
収容人数が多ければ多いだけ職員数が必要なのは言うまでもありません。
割合的には日中は20名を1.5~2名、夜勤は20名を1名で対応するくらいが一番利率は上がりやすいです。
これに日勤、夜勤、いずれもリーダーをつけてくれるようであればかなり良心的な職場ではないでしょうか。
勿論、人員配置基準を満たすには事務員に兼務辞令で介護員の職名を与える等の工夫は必要です。
一方のグループホームは最初に申しました通りあくまで家庭的な雰囲気を味わう事が出来る空間がコンセプトなので、比較的ゆったりとした穏やかな空間作りを重要視します。
「サザエさん一家」でグループホームを解説!
一般的に「家庭」というとどのようなイメージでしょうか。
サザエさんをモチーフに考えてみましょう。
仮に波平さんが認知症を患ったとします。
介護をするのは誰でしょうか。
現状を考えれば妻であるフネさんになります。
ですが、波平さんが認知症を発症するくらいの年齢であれば、老老介護の可能性が出てきます。
そうすると介護を出来るのはサザエさんがキーパーソンという事になります。
そしてカツオ君、わかめちゃん、たらちゃんが学校や仕事の合間を縫って手伝う訳です。
マスオ兄さんは・・・司令塔、といったところでしょうか。
家庭での高齢者介護はある一定の顔なじみの関係者が担うのが一般的価値観です。
つまりグループホームも同様に考えると、メインで介護する人はローテーションを組まれてコロコロと顔ぶれが変わるようなシステムでは家庭的どころか、認知症の方にとっては毎日が「はじめまして」の可能性も出てくる訳です。
そういった面も考慮してより信頼関係を構築しやすいように、職員とも馴染みの関係性を築ける環境を求めます。
要は、それまでの流れ作業で単一的だった生活ペースを個々のニーズに合わせる事を実現させる画期的なシステムがグループホームの指針だったのです。
お母さん的な存在の人がお世話をしたり声を掛けたりして、お父さん的な人がお母さんに「こうしてほしい」と指示を出していると考えて下さい。
ここではお母さんが現役の母親を退いたフネさんに代わってサザエさんが担い、お父さんは夫であるマスオさんとなります。
マスオさんは管理者。
サザエさんは主任介護員。
カツオ君、ワカメちゃん、タラちゃんが介護員・・・という具合ですかね。
あわよくばイクラちゃんが臨時職員で、それからタエ子さんがパートタイムで働いてくれるかもしれません。
そう考えると、何十人ものスタッフを抱える大規模施設と比べると極端に配置が少ない事がお分かりいただけたでしょうか。
中には9名ユニットを2棟並べたり2階建てにしたりして、『第一○○荘』「第二○○荘」というようにして、その中で人員を行ったり来たりする事もあるようですが、それではグループホームの概念からはほど遠くなります。
グループホームの不満はこれ!人数が少ないからこそ逃げ道がない!
これはグループホームに限らず、今主体となっている「ユニットケア」全体に言える事なのかもしれませんが、とにかく配置が少ないです。
酷いところでは、いつ出勤しても引継ぎの時間以外は自分ひとり・・・という事もあり得ます。
だからこそ、離職する理由も特殊なのです。
という訳で、よく聞く退職理由をいくつか挙げてみます。
- 孤独との闘い
- 関係性を築けなかった時カバーする人が誰もいない
- 料理が不味い事を毎回指摘された
- ヘビー級の方の移乗で腰を痛めた
- 看護師がいないのに医療依存度高い人を受け入れないでほしい
- 終日認知症の方の相手で精神的にやられた
- 誰も見ていない時間が多いので虐待がよくある
- 自分が夜勤の時に心停止があった
- どこからどこまでが自分の仕事なのか分からない
- サービス残業が多すぎる
- 夜勤の度に幽霊が出る
紹介した例はごく一部ですが、精神的にも肉体的にもハードさを感じる方が多いようです。
少数精鋭ですので人間関係の悩みは少ないかと思いきや、まずは対利用者さんの面でトラブルがあった時に逃れる先がないという点。
それから職員間でのいざこざがあった時にカバーできる人もいないという点において、人間関係の難しさがあるようです。
職員の比率自体は大規模施設も小規模施設も大差はないのかもしれませんが、例えば5人を1人で対応するのと20人を4人で対応するのとどちらがマシ?と言われると、責任の所在が1人だけか、4人で共有できるかの差は大きいのではないでしょうか。
それから、夜の勤務は介護に限らず色々な怖さがあります。
その怖さも出来るのならば誰かと共有していたいものです。
グループホームを辞めたい!と思ったら…
雇用形態にもよりますが、正社員ならば多少嫌な事があってもこれから会社を担っていく立場である自覚を持ちましょう。
大きな法人や株式会社ならば、異動の可能性もある事でしょうし異動願いを出してみるのも一つかもしれません。
それすら嫌な方はきっと、グループホームが嫌な訳ではなく、会社が嫌なのでしょうからこのページではなく、退職マニュアルのページを閲覧する事をお勧めします。
一番参考にして頂きたいのは非常勤や臨時職員、有期契約での労働の場合です。
グループホームの給与は、同一地区であればそう大差はありません。
何故なら報酬の上限が決まっているから。
基本的に事業というのは、会社全体での補填よりも事業所単位での補填を考えます。
この事を逆手に捉えれば、同様のグループホームの求人は同じ程度の待遇で探せばいくらでも見つかります。
それから、選択肢を介護以外の福祉事業に目を向けてみるのも一つではないでしょうか。
例えば、高齢者介護の分野ではなく障害者支援の分野のグループホームを見てみるとか。
ちなみに障害者グループホームでは介護員とは呼ばず世話人という職種になるようです。
特に民家タイプやアパートタイプは軽度の知的、精神障害者が対象の為実際に転職した方からは、アセスメントも緩いしケース記録の量も少ないし何より体の負担は少ないので圧倒的に楽だという声が多いです。
勿論、障害の分野においても介護福祉士は福祉の専門職ですから、一目置かれる存在の一人だと思います。
基本的に介護職の方は人と接するのが好きな方が多いので、接客等のお仕事に移るという方もいるようです。
ですが、あまり長続きした方のお話は聞いた事がありません。
高齢者や障害者相手ですと、無意識ですが話し方が上からとなっている方が非常に多いのですが、その話し方に慣れてしまうと一般のサービス業ではあまり好印象とはならないのでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
今、グループホームで働いている方の中にはグループホームが何なのかすら分からないまま日々の業務に追われている方も沢山居る事だと思います。
ですが、その根拠やコンセプトを知ると、意外に仕事に対するものの見方が変わる場合もあります。
残念ながらそうはならなかったという方は、これからの未来を考える上で自分がやりたい介護や支援というのはどういうものなのかを一度見定めてみる事も必要だと思います。
ですが、介護も支援も極論を言うと、次の言葉が一番しっくりと当てはまります。
「小さな親切大きなお世話」
ですので、親切心だけで自分には福祉が合っていると思っている方は十分に注意してください。
自立支援は介護者を楽にするだけはなく、本人にとっても出来る事を維持する、あるいは可能性を引き出すとても重要な観点なのです。
その根拠を引き出す為のグループホームですから、人員配置も少なくなっている訳ですよね。
皆さんの今後が素晴らしいものになるよう願ってます。
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