法人決算に初めて挑む人のために、前回は以下の記事をかきました。
今回はその完結編といった立ち位置になります。
具体的には、書類を準備したあとの手続きについて解説していきますよ。
目次
【結論】書類をもって税務署にいけば万事解決
これから長々と法人決済の手続きに関する知識について解説していきますが、長ったらしい説明は嫌だ、という人もいるでしょう。
筆者も嫌ですから、その気持ちはわかります。
そんな人に、これだけ知っておけばOK、という知識を最初にさずけておきましょう。
つまりは、ここだけ読んでおけば、もう最後まで読む必要はありません。もちろん、書類を用意しているのが前提になるので、書類を準備できていない方は以下の記事をご参考に。
迷ったら税務署に行こう
決算の手続きについては正直、税務署に行くのが1番手っ取り早いです。筆者も1年目の決算は税務署に入り浸って、色々とサポートしてもらいました。下記に書かれている知識もすべて税務署のスタッフがわかりやすく解説してくれますよ。
税務署は税金から逃げる人は徹底的に追いかけて高圧的な態度をとってきますが、支払いをしっかりしようと思ってる人にはものすごく手厚くサポートしてくれます。
筆者の場合はかなり詳しい人が担当についてくれて、手続きに関する手厚いサポートをもらえましたよ。
もちろん脱税をするつもりであれば話は別でしょうが、ちゃんと計算をしているのであれば税務署に行く方が本当に手っ取り早いです。
- 自分じゃなかなかできそうにない
- とにかくめんどくさそうだ
- 失敗しそうだ・ミスしたくない
- 手続き関係を得意ではない
上記のような人は、だまされたと思って、税務署に行ってみてください。手厚いですよ、本当に。
法人税金の申告先は?
ちょっと裏技的なことを解説してきましたが、ここからは王道をいきましょう。
法人決算が終了したら、各種税金を申告します。法人が納めるべき税金は4種類あります。
- 法人税
- 法人事業税
- 法人住民税
- 消費税
以上4つです。提出先などがそれぞれ異なるので要注意。
法人税
法人税とは、株式会社などの法人が事業年度(通常は1年間)において稼いだ利益(所得)に対して課税される国税です。つまり、法人の利益(所得)を基準として法人に課される税金であり、広い意味での所得税の一種です。 個人の所得に対して課される税金を所得税といい、法人の利益(所得)に対して課される税金を法人税というわけです。
引用:https://business.bengo4.com/practices/1045より
法人税は、税務署に対して申告します。提出に必要なのは、法人税申告書、決算書、法人事業概況説明書、勘定科目内訳明細書です。必要な場合は、適用額明細書も提出します。
法人事業税
法人事業税は、法人が事業を行うにあたって利用している道路や港湾、消防、警察などのさまざまな公共サービスや公共施設について、その経費の一部を負担する目的で課税されるものです。法人の事業所得に対して地方自治体(都道府県)が課すため、納付先は各地方自治体になります。ただし、法人の所得が赤字であれば、納付する必要はございません。
引用:https://www.smbc-card.com/hojin/magazine/bizi-dora/tax/enterprise-corporate-tax.jspより
法人事業税は、都道府県の税務事務所に申告します。自治体によって申告書類が異なるので要注意。
法人事業税では、所得に税率をかけた額を支払います。赤字の場合は所得がないので、支払う税金はありません。
法人税や法人住民税と違って、翌年度の損金に算入することができます。
法人住民税
法人住民税は法人が地方公共団体に支払う税金です。事業者は本店や支店等のある各都道府県及び市町村の公共サービスを享受しているという観点から、法人の事業所のある地方自治体に課税され納付義務を負っているのです。法人住民税は法人所在地の都道府県と市町村に納税されます。
引用:https://keiriplus.jp/tips/outline_corporationtax/より
法人住民税には、2種類あります。都道府県民税と、市町村民税ですね。例外として東京23区に事業所がある場合は都民税として一括で課税されます。
都道府県や市区町村の税務事務所に申告します。
法人住民税は、所得から算出された税額に税率をかけた法人税割と、資本金によって定額の均等割から構成。この2つの合計額を法人住民税として支払うことになります。
消費税
消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。
引用:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htmより
法人にかかる消費税は、税務署に申告するので法人税と合わせて作業しましょう。消費税を申告する際は、消費税及び地方消費税の確定申告書を作成し、税務署へ提出します。
還付申告を行う場合は、消費税の還付申告に関する明細書が必要。
ただし創業後最大2年間の消費税免除を受けることができる簡易課税制度という制度もあります。条件に当てはまるようであれば、制度の利用を考えてみましょう。
税金を納税する時に知っておきたい制度とルール
各種納税をしたら、法人決算は終了です。
ただ、実際に納税する前に知っておくべき知識はまだあります。しっかりとおさえておきましょう。
簡易課税制度
簡易課税制度は、課税売上高が5,000万円以下の中小事業者の事務負担の軽減を目的とした制度です。届け出を行った事業者に対し、簡易化された仕入控除税額の計算を認めます。
納付税額は、課税売上等に係る消費税額から課税仕入等に係る消費税額を差し引いて計算するのが特徴。(これを控除する金額のことを、仕入控除税額と言います)
なお、簡易課税制度を利用する為には、以下の要件に当てはまらなければいけません。
- 前々年または前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下
- 消費税簡易課税制度選択届出書を事前に提出している
- 2年間原則の課税度に変更できない
消費税簡易課税制度選択届出書は、納税地を所轄する税務署長に、利用しようとする課税期間の開始日の前日までに提出します。簡易課税制度を利用すると事務的負担を軽減することができますが、実は税負担が増加してしまう場合もあるので要注意。
一度適用すると2年間は継続しなければいけないので、制度を利用した結果自分の企業の場合得をするのか損をしてしまうのか、よく考えてから利用するようにしましょう。
各書類には「最低保存年数」が存在する
税務申告終了後も、決算書類などには保存が義務付けられています。保存年数は書類の種類によって異なり、最低2年、長いものでは10年間の保存が必要なものも。中には永久保存を命じられている書類もあります。
誤って破棄してしまわないよう、それぞれの最低保存年数が過ぎるまでは、しっかりと管理しておくようにしましょう。
また申告期限や納付期限は、どの税金も期末日から2ヶ月以内となっています。事業税・住民税の納付期限については自治体により異なる場合があるので、こちらも併せて確認しておきましょう。
サクッと法人決算して次のステージへ
ここまで解説してきたことが、法人決算で必要なことです。
会社を設立したばかりの場合、まだまだ右も左もわからないといった状況でしょう。
初めての決算日はどの企業も悪戦苦闘しながらその作業を乗り越えていきます。
毎年の決算を繰り返すことで、徐々に企業ごとに決算の流れを掴み、決算で得た情報を次年度に役立てることができるようになっていくのです。
会計ソフトや税務署のスタッフなど専門家の力を借りながらでも良いので、初年度の法人決算をクリアしていきましょう。
思っている以上に大したことではないのでご心配なく。
以上「【会社設立1年目】はじめての決算の手続きを滞りなくクリアする方法」でした。