起業してから初めての事業年度が終わると、1年間の売上や経費をまとめて申告を行う「法人決算」という作業が必要になります。
法人企業として避けては通れない道ですが、初年度だからこそ何から手を付ければいいのかわからず、不安な気持ちを抱えている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は前編・後編とわけて、法人決算について順に見ていきます。
ミスなくサクッと準備を終わらせる”ちょっとした裏技的方法”も解説しますので、会社設立1年目の経営者はぜひ目を通してみてください。
なお、ちょっとした裏技だけを知っておきたい人はこちらをチェックです。
目次
【基礎知識】法人決算とは
まずは「そもそも論」といいますか、法人決算について、基礎的な知識について解説していきましょう。
「さすがにもう知っているわ!」という人は読み飛ばしてもらってかまいません。
法人決算の目的
法人決算とは以下の3つの意味、、といいますか「目的」があります。
- 適切に税金を申告し納税する
- 株主へ業績を報告する
- 経営を分析し、改善するための情報を得る
この3つです。法人決算は面倒な作業と捉えられてしまうこともありますが、1年間の企業内でのお金の流れを把握することで、今後の企業の成長へと役立てることが。
初年度に失敗してしまったことを次年度に繰り返してしまわない為にも、しっかりと企業内のお金の流れを把握していくことが重要です。
法人決算の期間
法人決算で申告する1年間の売上の期間設定は、各企業で異なります。
個人事業主の場合は1月から12月までの売上について申告するのですが、法人の場合はそれぞれが定めた事業年度の翌日から2ヶ月以内に法人決算を行うことに。
ちなみに大企業などでは事業年度が4月から翌3月と決められている企業が多いのですが、その場合は5月末が期日となります。
まずは会計帳簿の整理をしよう
では基礎知識について知ってもらったところで、さっそく本題に入りましょう。具体的な準備の開始です。
まず必要になるのが、「会計帳簿」の整理です。日々の仕入れと売上の流れを別々の帳簿に記帳していたものを、請求書、領収書、通帳コピーの整理を行って、1つにまとめていきます。
帳簿作成のコツ
帳簿を初めて作成する場合、まずは売上の帳簿から作成しましょう。
売上は事業の財源です。収益から費用を差し引いた金額が売上金額です。収益の大部分を売上が占めているので、売上の計算をしなければ利益の計算はできません。
小売店の場合は、営業時間終了後にその日の売上合計を、日付とともに記録します。これを毎日積み重ねていきます。月単位で集計をしておくと、年度合計の計算がしやすくなりますよ。
売上の記帳に慣れてきたら、「仕入帳簿」も作成しましょう。売上から仕入金額を差し引いた額が、売上総利益です。
完璧な帳簿は存在しない
始めはどのくらいのお金を費用に使い、どれくらいの利益が出ているのか、考えてもすぐには理解できないかもしれません。しかし毎日の記帳を続けていくと、次第に企業内のお金の流れがわかってくるようになります。
ほとんどの企業が最初から完璧な帳簿を作成しているわけではなく、試行錯誤を繰り返しながらそれぞれのスタイルを確立していきます。
問題が生じたら改善する、これを繰り返していきます。企業内のお金の流れが見えてくると、何を改善するべきかという問題点も明確に見えるようになるでしょう。まずは日々のお金の流れを帳簿に記録していくところから始めてみては。
なお、会計帳簿作成のコツについては、以下の記事を参考にするとはかどりますよ。
次は「決算書」を作成しよう
会計帳簿の整理が終わったら、次は決算書を作成する為に「決算整理仕訳」を行います。法人税を確定する為には、この作業が必要です。
決算整理仕訳では、以下を計上します。
- 棚卸資産
- 減価償却
- 貸倒引当金
- 未払税金
- 未払費用
- 前払費用
決算整理仕訳は結構大変なので、以下の記事を参考にしてみてください。
まだまだ必要な書類はたくさんある
ここまで終わったら、次の書類作成に入りましょう。面倒ですが、頑張り時です。
会社法において、法人決算で作成すべき書類は決められています。それぞれ解説していきましょう。
損益計算書
損益計算書は、企業や団体の一定期間における目的別の費用と収益を対象表示し、期間内の損益の状況を明確に表している表のこと。
企業において経営判断の為の情報として用いる他、株主や債権者などに経営成績に関する情報を提供する役割を持っています。
貸借対照表
貸借対照表は、企業や団体のある時点の財務状態を総合的な損益額も明らかになるようにまとめた表のこと。バランスシートと呼ばれることも。
左側に資産の部、右側に負債及び資本の部を記載しています。企業の財政状態を客観的に把握することができる、経営上なくてはならない表です。
株主資本等変動計算書
株主資本等変動計算書は、貸借対照表の純資産の部の一定期間における変動額のうち、主に株主に属する部分である株主資本の各項目の変動自由を報告する為に作成される決算書です。
会社の利益を何に使ったのか知ることができます。
個別注記表
個別注記表は、重要な会計に関する注記、貸借対照表に関する注記、損益計算書に関する注記など、各計算書類に記載されていた注記を1つの書面として一覧表示する計算書類です。
減価償却や引当金はどのように計算しているのかなどといった、より深く会社の決算の状況を理解する為の材料として必要とされています。
計算書類に係る附属明細書
計算書類に係る附属明細書は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表の内容を補足する重要な事項を説明する為の書類です。
小難しい準備をサクッと終わらせる必殺技
ここまでいろいろと小難しいことをいってきましたが、正直筆者も完全に理解できていません。ではどうやって決算に必要な書類を用意できたのか。
実は会計ソフトを使ったんですね。
法人の場合、個人事業主と比べてデータの数が膨大になります。ミスなく、手間なく決算業務を行う為には、会計ソフトが欠かせません。会計ソフトがあれば、経理業務初心者の方でもソフトの指示通り入力していくことで簡単に各種書類の準備を終えることができます。
会計ソフトにはさまざまな種類があるので、料金プランや使用感を比較したり、顧問税理士に相談をしたりして決算作業前に適した会計ソフトを導入しておきましょう。
・・・といいたいところですが、個人的には最強が決まっています。それは会計ソフト「freee」です。
今も「freee」で全て行っています。知識がなくても、何から何まで全てできるので、勉強いらず・失敗知らず。良い時代になったものですね。
1時間から2時間位で決算の必要書類が用意できますよ。
さてさて、長々と解説してきましたが、ここまではいわば準備です、次は手続きについて解説していきましょう。
以上「会社設立1年目のはじめての決算をミスなく突破する方法【準備編】」でした。